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続族続「たまゆら」

 前号は、あたしが泰雄に会いに連絡艇『A330号』で娑婆へ出かけるところ迄だったわね。泰雄のヤツ、家を空けて一体どこへ行ったんでしょう?それがね、やっと見つかったんです。みなさんは、一体どこに居たとお思いですか?それがね、K町の墓地だったんですよ。実はきょう5月16日は、あたしの命日だったんです。

 ああ、見えます、見えます。いま管理事務所のドアからまず、長男の洋一郎が、つづいて嫁の晴子、孫の翔太。しばらくして次男の泰次郎、孫の由可里、嫁の五月。ほとんど同時にお目当ての泰雄が出てきます。そのあと、一行は揃って歩き出し、途中水場に立ち寄り、皆で手分けして、雑巾や手桶を運んでいます。お供え物もたくさん持ってきたようです。

 墓石だけど、お隣のは赤っぽい石だけど、あたしのは黒御影石。落ち着きがあって、どっちかというと黒の方がすきです。今は地震対策のためか、角柱型のものが減り、かまぼこ型と云うのかしら、くし型というのかそんなのが増えてきた感じです。上に大きく「和」という文字が彫ってありますが、これは息子達が相談して決めたようです。上空から墓地一帯を眺め渡してみると、赤いバラを彫ったり、参詣者にありがたい教訓を垂れるようなものまであって、なかなか興味深いものがあります。

 子供たちの会話を聞いていると、去年まではまだ櫛の歯の欠けたような感じもあったけれど、今じゃあどんどん売れて、あたしのお墓の周りを見ても、空いているところがないくらい埋まっている。場所が私鉄駅から車で10分程だし、周囲も森があったりして、ケッコウ環境も悪くないせいでしょう。自社のマイクロバスも走らせているので、車を持たぬ人にもわりと便利そうだ。

 あたしのお墓は、みなで寄ってたかって、石をキレイに洗い清めた上、お花を沢山飾ってくれた。連中が着く少し前に、弟の家で来てくれたらしく、すでに新しい花が沢山置いてあった。お陰で、うちのと、弟のとで石の字が見えないほど賑やかになった。

 お参りしてくれたあとは、例によって、墓石を背景にした記念写真の撮影だ。張り込んで、沢山の線香を燃やしてくれたせいか、チョッと煙い。あたしはもともと、気管が弱いせいで、苦しいけど、折角の好意なので、しばらく我慢をしよう。  (つづく)

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